基本方針
人生の最終段階を迎えた患者さんの状態・環境に合わせて、医師をはじめとする医療従事者および様々なケアを担当する介護従事者などで医療・ケアチームを形成します。
そして、患者さんおよびその家族等の皆さんと医療・ケアチームで十分な話し合い・説明を行った上で、患者さん本人の意思決定を基本とした医療・ケアを提供します。
そして、患者さんおよびその家族等の皆さんと医療・ケアチームで十分な話し合い・説明を行った上で、患者さん本人の意思決定を基本とした医療・ケアを提供します。
人生の最終段階とは
「人生の最終段階」は、患者さんの状態を踏まえて医療・ケアチームで判断します。
具体例として、下記の状態を多く経験します。
【例】
- がん末期の病状で、予後(余命)が数日から長くとも2~3か月程度と予測できる状態。
- 慢性疾患の急性増悪を繰り返し、予後不良に陥った状態。
- 脳血管疾患後遺症や老衰などで、数か月から余年にかけて死を迎えると予測される状態。
※他にも様々なケースがありますので、患者さん毎に説明を行います。
人生の最終段階における医療・ケアの在り方
- 医師等の医療従事者から適切な説明を行います。その内容に基づき、患者さん・家族等の皆さんと医療・ケアチームが話し合いを行い、患者さん本人の意思決定を基本とした人生の最終段階における医療・ケアの方針を決定します。
- 人生の最終段階を迎え、患者さんの意向は常に変化していくことが当然のことです。意向に変更があった場合は、医療・ケアチームに遠慮なく申し出てください。また、患者さん・家族等の皆さんが、不安や疑問を抱いたり、思いを十分表現できない場合には、医療・ケアチームと相談したり、考えの表出を支援する体制を準備しています。
- 患者さん本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性がある場合、患者さん本人が、事前に特定の家族等を「自らの意思を推定する方」として定めておくものとします。必要に応じて、患者さん本人に加えて「自らの意思を推定する方」とも医療・ケアチームが話し合いを行い、様々な方針決定を行います。
- 人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・不開始/変更/中止等は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断し、患者さん・家族等の皆さんにご提案します。
- 医療・ケアチームにより、可能な限り疼痛や苦痛となる症状の十分な緩和を目指します。また、患者さん本人・家族等の皆さんの精神的・社会的な援助も含めた、総合的な医療・ケアを行います。
- 生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死については、本指針では対象としません。
人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続
【患者さん本人の意思確認ができる場合】
- 初めに、患者さんの状態に応じた専門的・医学的検討に基づき、医師等の医療従事者から患者さん本人に適切な説明・情報提供を行います。その後、患者さん本人の意思決定を基本とした方針の実現を目指して、医療・ケアチームと十分な話し合いを行った上で、最終的な方針を決定します。
- 先述の通り、時間経過・心身状態の変化・医学的評価などに応じて、患者さん本人の意向は変化するものです。医療・ケアチームにより、適切な説明・情報提供を行い、患者さん本人が自らの希望をその都度示し、伝えることができるような支援を行います。また、最期の時が近づいた時に、患者さん本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、できるだけ早い段階から家族等も含めた支援・話し合いを行っていきます。
- このプロセスにおいて、話し合った内容は診療録に記載します。
【患者さん本人の意思確認ができない場合】
患者さん本人の意思確認ができない場合には、下記ケース毎に医療・ケアチームの中で慎重に判断します。
- 家族等が患者さん本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者さん本人にとっての最善の方針をとることを基本とします。
- 家族等が患者さん本人の意思を推定できない場合には、患者さんにとって何が最善であるかについて、患者さんに代わる者として家族等と十分に話し合い、患者さんにとっての最善の方針をとることを基本とします。時間経過・心身状態変化・医学的評価等に応じて、このプロセスを繰り返し行っていきます。
- 家族等がいない場合及び、家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、患者さん本人にとって最善の方針をとることを基本とします。
- このプロセスにおいて話し合った内容については、都度、診療録に記載します。
【複数の専門家からなる話し合いの場の設置が必要な場合】】
方針決定に際し、家族等の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアの方針が決定できない場合は、患者さん本人または家族等の同意を得て、外部の専門家(医療倫理の精通者や国が行う研修会の修了者など)を交え、方針等について検討していきます。
具体的な知恵例としては、下記のようなケースがあります。
- 医療・ケアチームとの話し合いの中で、心身の状態等により医療・ケアの内容の決定が困難な場合。
- 患者さん本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、通常は妥当・適切と考えられる医療・ケアの内容についての合意が得られない場合。
- 家族の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアの方針が決定できない場合。